インクと爪跡

不器用にあつめた刹那の花束

2022-10-24から1日間の記事一覧

短編「キナラ」

キナラ 日が沈めばせめて掴むものをと。もがきながら指先を広げ両腕を振り回す。しかし虚空に誘われるなら体幹を忘れ、自我をも忘れて哀れに転ぶ。そうして子供も大人も一様に泣くのだ、叫びながら、わずかに触れたことのある、温かな手を希いながら。 その…