インクと爪跡

不器用にあつめた刹那の花束

2021-02-01から1日間の記事一覧

短編「夢寐」

短編「夢寐」 揺蕩う意識の水面に重たい石の嘆息を落とし、浮かび上がってきた泡沫の声。隼は純白のシーツをこぶしの影で汚していることに気付かない様子で、掴む力をいっそう強くし鼻を鳴らした。ブタみたい、と頼子は思った。実際、呟いたらなにもかもが消…